From:xxxxx@xxx.xx.xx
Sub:そろそろ煮詰まったかしら?
メールでは初めてましてね。
まあ、実際もそんなに会ったことは無いけど。
臨也の秘書をやってる矢霧よ。
どんな計画立ててるかは知らないけど、ごめんなさいね、ケーキは今日存分に食べてしまったのよ。
だからいくら退誕生日とはいえ、ケーキは食べるのならそんなに大きくないものがいいと思うわよ。
まあ、あなたが食べても、臨也は食べるかは分からないけど。
とりあえず言いたいことは一つよ。
臨也の誕生日だろうが何だろうが、私に迷惑をかけるのは止めて頂戴。
それとあなた、もう少し自分の行動が何に、どれだけ、影響するのか考えた方が良いわよ。
あら、ごめんなさい。2つになってしまったわね。
とにかく言いたいことはこれだけだから。
特に前者は絶対守って頂戴。
それじゃあ、精々頑張って。
矢霧
あの人と付き合いだしてからも、彼は相変わらずぼっちだった。
まあ大部分の原因が彼の人格なんだろうけど、それ以来、彼なりに他人と恋人との線引きをちゃんとしているようにも見えた。
なのに、あの人は相変わらず自分の欲望が赴くままに行動して。自分の事ばかり考えて。
それって、ずるくない?
「えーっと、波江さん?」
「何よ。」
「仕事、なんだよね?こんな所だけど・・・」
「ああ、それ嘘よ。私が食べたかったからよ。だけどこういう所って一人で行くのも嫌でしょ?だから暇そうな貴方を連れてきたのよ。何か問題でも?」
「えーっと・・・」
「さ、入るわよ。」
「・・・どのみち俺の返事聞く気無いんだね、波江さん・・・」
中に入ってすぐに感じたのは甘ったるい匂い。食器の音。女性達の声。
まあ、ケーキバイキングなんて、どこでもそんなものだと思う。
「タダで入ったわけじゃないんだから、それなりに食べなさいよ。」
「え、あ、うん・・・・」
何か言いたそうなのを無視して、さっさと好きな物を取り、先に席に着いた。
しばらくしてから臨也も席に着いた。相変わらず、複雑そうな顔のままだ。
「先、食べてるわよ。」
「あ、うん・・・ねえ、波江さん。」
「何よ。」
「何で、俺誘ったの?・・・・俺、言ったよね?もう2人だけで仕事以外で一緒に出掛けないって。」
「・・・・そうね。」
臨也は、あの人と、──────平和島静雄と付き合いだしてから、私と仕事以外で2人きりになるという事を極力避けるようになった。
理由は聞いた事は無い。
だけど、なんとなく分かった。
それは彼等が付き合いだしてしばらく経ってからの、池袋での仕事が終わり、帰ろうとした時。
偶然、その人と金髪の女性が楽しそうに歩いていたのを見た時のあの顔が、そうなんじゃないかと思う。
言えばいいのに。言ってしまえばいいのに。
それどころか、相手を気遣って、自分だけ他人との線引きに躍起になるんなんて。
あいつが自分と同じ気持ちにならないように気を遣うなんて。
やっぱり馬鹿なんだわ、コイツ。っていうかその気遣いこそ私や他人に使いなさいよと、その時からずっと思ってる。
でもそれを責めるのは違うってさすがに私達も分かってるから。
「・・・嘘って、言ったけど。それこそが嘘よ。」
「・・・へ?嘘が嘘って・・・え?」
「正確には、私『の』仕事ね、これは。昨日岸谷先生に頼まれたのよ。今日、ここで臨也の世話をしてやってくれってね。」
「世話、って、何それ!俺幾つだと思ってんの!」
「身体はともかく、精神面が大人だとは言わせないわよ。やりたい事しかやらない癖に。」
「ぐ・・・・!」
「だから今日1日人に迷惑かけないよう、お願いされたのよ。・・・まったく、私にはいい迷惑だけど、ここの料金と依頼料はくれるって言うから引き受けたけど。」
「・・・結構ちゃっかりしてるよね、波江さんて。」
「うるさいわよ。さ、早く食べちゃいなさい。・・・・ああ、別に延長してもいいかもね。なにせ『養育費』に上限があるなんて聞いてないもの。」
「へえ~・・・じゃあガッツリ世話してもらおうかな?」
言っておくけど、今私の周りだっているのは誠二以外で臨也ぐらいしかいないっていうのを分かっておいてよね。
・・・・・・ってあの男に言ったら一体どんな顔するのかしら?
いや、波臨でケーキって前に書いただろ。なんて言ったらダメなんだぜ!←
新羅の件は、嘘か本当かはそれぞれにお任せします^^
最後なんか匂わせたっぽいですけど、あくまで静臨の話では波江さんはお母さんのポジション!
ドタチンと新羅は時と場合による!!←
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