11/03
Wed
2010
ガチャ。
「・・・・まだ何か用なのシズちゃん。」
「寝にきた。ここで寝かせろ。」
「はあ!?嫌だよ、ソファーで寝ろよ。掛け布団貸してやっただろ!」
「ソファーは嫌だ。こっちがいい」
「なっ、ちょっ、勝手にベッドの中入ってくんなあああ!!」
俺が全力で拒否をしているのにも関わらず、この男は少しも気にせずベッドの中に入ってきた。
なんなの!
なんなのなんなの!!
ついさっき人にあんなことしておい、て・・・・ま、まあ、あれぐらいの事俺は全然気にしてないけど!
にしてもこの野郎何事も無かったかのように入ってきやがって!
蹴っても蹴っても全然反応しないし!
・・・・もういい、何か疲れた。寝よう。
このバカのせいに寝不足になるとか最悪すぎるしね。
そう思った俺はシズちゃんに、背を向けて寝始めた。
のだが、
「・・・・よこせ」
ズルッ
「わっ!?」
ボスン
・・・枕を勢いよく奪われた。
「こ、の、野、郎・・・・!確かにここベッドですよ。きっと、っていうか絶対君ん家のベッドより断然良いベッドですよ柔らかいですよふかふかですよ!枕とベッドの段差だって大したこと無いですよ!でもね、そんな勢いよく枕引き抜かれたら、ふかふかでも、段差無くてもそれなりの衝撃があるんですよ!!わかる!?まあ化け物の君にはその衝撃は分からないと思いますけどね!!」
なんとも自己中な行動に我慢できずに思わずシズちゃんの方に向き直り、すごい勢いで捲くし立てた。奴の肩やら胸やらを容赦なくバシバシ叩きながら。・・・・後先考えずに。怒りに身を任せて。
あ。しまった。と思った時には叩いていた腕をしっかりシズちゃんに掴まれていた。
「おい、深夜に喚くな。うるせえぞ。」
「だっ・・・だって、シズ、ちゃんが悪いじゃない・・・ですかぁ」
うん、腕を掴まれた力強さと、そんな風に睨まれたら、誰だって敬語になると思うんだ。
「あー?あぁ、手前も枕が欲しいのか?じゃあこうすりゃいいだろ。」
「はぁ!?そういうことじゃなくっ、わ!?」
ズボッ
俺の頭と、ベッドの間に何かが入ってきた。
いや、何かっていうか、これは、
「おら、これでいいだろ。」
「だっからって、なんっ、何で腕枕なんだよ!」
「他に代わりになるモンが無えからだ。」
「枕返せよ!」
「嫌だ。俺枕が無えと寝れねえし。」
「あぁ、だからあの時膝枕を要求してきたんだね、・・・ってそんなのどーでもいいんだよ!これは!俺の!枕!!」
「はいはい。もう寝ろよ。遅いんだから。」
「聞けよちゃんっぐ!?」
「うるせえ、黙れ。」
ちゃんと!と言う前にシズちゃんの手によって口を塞がれた。・・・さっきみたいに口じゃなくてホント良かったと思う。
・・・・ああ、なんか、いちいち歯向かうのがバカらしくなってきた。っていうかさっきよりも疲れた。もう放っておこう。寝よう。
シズちゃんに構い過ぎたせいで疲れていたのか、目を閉じた途端、すぐに眠気はやってきた。
・・・後頭部に違和感があるのは気になるが、今の俺なら寝れそうだ。
シズちゃんも大人しくなった俺に満足したのか、ようやく手を離してくれた。
が、最後の最後にこいつはやらかしてくれた。
「よしよし。いい子だな。」
と言って頭撫でるだけなら良かった。・・・かなりムカついたが。
そこにコイツは
ちゅ。
「おやすみ。」
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・!!!??
おい、今コイツ何した。コイツまた何しやがった。
今、口に何かきたぞ。何か触ったぞ。何か音したぞ!
っていうかその感触知ってんぞ!!
・・・・このおかげで俺は寝不足になったのは言うまでも無い。