01/13
Thu
2011
「好き」も
「大好き」も
「愛してる」だって
全て伝わってると思ってたんだ。
「っ臨也!待てよ!!」
丁度仕事が終わった時に、偶然、臨也を見かけた。というか会った。
だって完全に目が合った。合ったのに、
臨也は、走って逃げた。・・・・・しかも泣きそうな顔をして。
そんなの見たら、追いかけるに決まってる。
「・・・っは、手前っ・・・臨也!待てって・・・はっ、言ってるだろうがよっ・・・!」
いつも追いかけてる時はこんなに息切れしない。
それ程今の俺は臨也を追いかけるのに必死だった。
なんだよ、なんでそんな顔してんだよ。
俺は手前の性格とか行動とか仕事の事なんて理解してねえし、する気も無え。
だけど────
「っのやろ・・・待、てって言ってんだろうがっ・・・!!」
「っ!!」
「っはぁ、はぁ・・・やっと捕まえた。」
臨也を捕まえ、ようやく止まることができた。
無理矢理こっちに身体を向けさせた。が、臨也はこっちに顔を向けない。俯いたままだ。
「・・・何?そんな必死に追いかけてきて何か用?」
「・・・手前何で泣いてんだよ。」
まぁ、正確には泣きそう、だけど。けどこのままだとこいつ泣くな。絶対泣く。断言できる。
「っ、はぁ!?泣いてないし!離せよ!別にいいだろ俺の事なんか!早く・・・早く彼女の所に戻りなよ!」
「・・・・あ?」
彼、女?
「誰だよ、彼女って。」
「・・・さっきいたじゃん、一緒に。金髪の子。」
「金髪・・・?ああ、ヴァローナの事か?あいつはただの後輩だって前にも言ったじゃ」
「嘘!」
「あ゛ぁ!?・・・オイコラ、手前ならともかく、何で俺が嘘つかなきゃなんねえんだ。つうか、手前の恋人の言う事疑うとか何考えてんだよ。」
心外、と思うよりもまず悲しくなった。なんだよ、俺手前にそんな信用されてねえの?
手前の性格とか行動とか理解できねえし、しょっちゅうムカつくけど。
それでも、
それでも俺がずっと一緒にいてえって思うのは手前だけなのに。
「じゃあ、好きだって言ってよ。俺の事好きって、愛してるって言って。」
「は・・・はあ!?何でそんな事ここで言わなきゃなんねえんだよ!」
恥ずかしいし、大体、そんな事言うなんて、俺のキャラじゃねえだろ!
それにそんな事言わなくても手前は十分に分かってるだろ?
って言うおうとしたのに、言えなかった。・・・なんでそんな悲しいそうな顔すんだよ?
「・・・そうだよね、俺なんかに、本気で好きなじゃない奴にそんな事言えないよね。」
「手前、何言って、」
「だってあの子には好きだって言ってたじゃないか!シズちゃんが本当に好きなのは、俺じゃなくて、あの子」
「だから!違うって言ってんだろうがよ!大体、俺はあいつにそんな事言った覚えはねえよ!・・・なあ、なんで分かってくれねえんだよ?そんな事わざわざ言わなくたって、お前は俺の気持ち分かってくれてたんじゃなかったのかよ?」
俺は手前とはずっと、それこそ付き合う前から、真正面から向かいあっていたと思ってたのに。違かったのか?
そう思ってたのは俺だけだったのか?
「わかんない・・・ちゃんと言ってくれないとわかんないよ!」
「臨也、」
「態度だけとか言葉だけとかじゃなくて、全部使って伝えてくれないと、態度でも言葉でも特別だって伝えてくれないと、不安でしょうがないんだよ!だって・・・・・・だって、俺シズちゃんと同じ男なんだよ?今までお互い大嫌いだって何度も言い合ってたんだよ?」
「・・・・・・・・・・・・」
「だから、何回も静ちゃんに『好きって言って』って言ってるのに、毎回はぐらかすし・・・・そんな事されたら、1回も『好き』って言われたことなかったら、疑うし、不安になるに決まってるだろ!!」
そう言って臨也は、俯き、黙り込んだ。・・・肩が少し震えている。
ああ最悪だな、俺。
俺ばっかり与えてもらって。
俺ばっかり満足してて。
俺ばっかり幸せで。
俺自身は臨也に何も応えてないなんて。
思わず、臨也を抱きしめた。
「っ!はな」
「悪かった。」
「!」
「俺、ずっと自分の事しか考えてなかった。臨也の事を、臨也がどう感じているかなんて考えてなかった。」
「・・・・・・うん」
「俺がこの状況に満足してたのは、お前が俺にそうやって色々くれたからなんだよな。」
「・・・・うん」
「だから・・・・だから、今度は俺が手前を、臨也を、満足させてやる。」
そう言って、臨也の顔を両手で押さえて、顔を上げさせた。
ああ、やっぱり泣かせていた。
「・・・満足させてやる、って偉そうに言ったけどよ。俺の事だから、きっとまた俺の事しか考えらんなくなっちまうと思う。もしかしたらまた臨也を泣かすかもしんねえ。」
「・・・・うん。」
「でも、臨也にはこれからもずっと俺の恋人で欲しい。俺が本気で、好きな奴だから。・・・愛してる奴だから。」
ようやく言った、もっと前から言わなければならなかった言葉。
なあ、もう泣き止めよ。さっきよりも泣いてんじゃねえか。
これからは、飽きるほど言うから。手前が嫌だって思うぐらいに言うから。
今まで俺が手前からもらった幸せを、今度は俺が手前にやるから。
だから、
「い、うのが、気づくのがおっそいんだよ馬鹿」
「ああ」
「しかも、酷い扱いするの前提で恋人でいろとかすごい勝手」
「ああ」
「・・・・・今までの不安させた分、ちゃんと返してくれるんだよね?」
「当たり前だ。一生かけて返してやる。」
「し・・・・しょうがないなあ!そこまで言うなら恋人でいてあげるよっ・・・」
「ああ。・・・よろしく頼む。」
そうやって、俺の隣でずっと笑っててくれ。
Give me the happiness that is the best than now.
(今より最高である幸せをください。)
I dedicate greatest happiness to you.
(私は最高の幸福をあなたに捧げます。)
結果、臨也号泣っていう・・・←
碧雲様、こんな感じになりましたが、いかがでしょうか・・・?
切甘好物なので、書くの楽しかったです!
碧雲様、リクエストありがとうございました!