ホントに出来たのが夜とかなんなの・・・
今回は静臨ですが、クルマイのチョコ作りを手伝ってあげる臨也も大変ときめくと思います。
「はい、シズちゃんこれ。」
「えっ、おま、これ・・・・」
「あーうん、面倒くさいと思うけど、妹達がシズちゃんが確実だっていうからさ。幽君に妹達からって渡しておいて。」
「・・・・・いーざーやあああ!!」
「えっ、何で!?」
おかしいな、かわいそうな静雄が出来上がったぞ?←
そしてタイトルはもう正直に言っちゃうよ!
思いつかなかった!!←
2月の初めに俺はシズちゃんと
『シズちゃんバレンタイン期待してていいよ!すっごい美味しいの作ったげる!』
『まじか。絶対だぞ。』
と得意気に約束した。
が、
バレンタイン当日である今日、俺が差し出したのは
『いーざーやーくーん。これは何かな?』
『ち・・・・チョコです。』
『へー、臨也君は手作りにご丁寧に材料とか賞味期限とか・・・・製造元とかわざわざ明記する人だったのかー』
『えーっと・・・約束破ってすいませんでしたあ!』
デパートで買った既製品だった。
「し、シズちゃん、もういい加減よくない・・・?」
「まだだ。まだ全部食い終わってねえだろ。おら、次。」
「うぅ・・・はい」
「ん」
今、俺はシズちゃんの膝に跨り、シズちゃんと向かい合い、シズちゃんに超至近距離で・・・・・チョコを食べさせてあげていた。
いや、うん。
普段の俺だったら、これぐらいでこんなに照れないよ。照れるわけが無い。
大体、こういう時照れるのはシズちゃんであって!俺じゃない!
俺じゃない、けど・・・・・
腰を両腕でがっちりホールドされたら
顔がもうくっつくほど近かったら
・・・・時々チョコと一緒に指まで舐められたり、す・・・吸われたりしたら
それをシズちゃんが全然照れずに、しかもずーっとこっち見たままされたら
そんなの照れずにはいられないって話じゃないか!
「ね、ねえシズちゃん、もう・・・いいよね?ほ、ほら!ずっと俺乗っかってたらシズちゃんも辛いじゃん!?」
「ああ、それは心配ない。俺が頑丈なのは手前が1番よく知ってるだろ?」
「いや、でもね、」
「約束破ったのは誰だ?」
「うぐ、・・・・俺、です。」
「じゃあ、手前に拒否権は無えよな?」
「うう・・・」
ちら、とシズちゃんの隣に置いてあるチョコの箱を見る。・・・・まだ半分以上残ってる。
ああああ、もう何でこんな量が多い物買っちゃったんだよ俺ええええ!!
・・・うう、俺このままじゃ羞恥で死ぬ気がする!
「・・・・・まぁ、どうしても許さねえ、ってワケじゃねえ。」
「ホント!?」
「手前が作ったモン寄こしたら、許す。」
「!!」
・・・いやいや、そんなはず
「な、何言ってんのシズちゃん!さっき言っただろ!仕事が忙しくて作る暇なかっ、」
「じゃあこの傷だらけの手はなんだ?」
そう言ってシズちゃんは俺の手をつかんだ。・・・もう!なんでこんな時だけよく見てるの!?
「!こ、れは・・・あのちょっと仕事でヘマを」
「あと、この部屋、すげえ甘い匂いがする」
「そ・・・りゃあそうだよ!だって横見てシズちゃん!こんなにチョコあるんだよ?チョコの匂いがしないわけ、」
「つうか、部屋より手前からすげえすんだよ、甘い匂いが。・・・今日だけじゃなくて、ここ最近ずーっと。」
「あ、う・・・・っ!ちょっと!そんなトコ匂い嗅がないでっ・・・!」
ちょっ、ちょっと!何で頭とかじゃなくて首にしかもわざわざ近づいて嗅ぐの!?
「だったら、早く正直に吐け。」
「ひゃっ・・・い、言う!言うから!!」
そこで嗅ぐな!喋るな!擽ったいし、なんか・・・~~~とにかく擽ったいんだよ!
「よし。」
と、ようやく首から離れてくれた。・・・くっそう、そのどや顔がすごいムカつく。
おかしいなあ・・・部屋はもちろん、俺自身にも匂いは気をつけてたんだけどなあ?
試しに自分の手の甲を嗅いでみる。・・・・やっぱり匂わない。マジなんなのこの化物。
あーーーもう!恥ずかしいから気づいてほしくなかったのに!
「で、なんで嘘ついたんだ。」
「・・・・・・・から」
「あ?何?」
「っだからあ!失敗したの!うまくできなかったの!美味しくなったの!・・・全然、ダメだったの。」
レシピ通りにやったはずなのにどうしてもうまくいかなくて。
約束してからずーっと特訓してるのにうまくできなくて。
あんな大口たたいといて、このザマだなんて、そんなの恥ずかしすぎて。
・・・シズちゃんに愛想つかれたくなかった。
「・・・バカか手前は。」
「な!なんでそんっふがっ!?」
反論しようと思ったら、鼻を抓まれた。
ちょっと!何すんの!!・・・と言いたいけど、変な声になってるだろうから言いたくない。
コノヤロウ、それ分かっててやりやがったな・・・!
「手前の性格以上に最悪なモンなんかあるか。俺はそれも込みで手前を好きなったんだ。今更料理が下手だ不味いだが影響するわけ無えだろが。」
「・・・・・・・・・・」
「俺、すげえ楽しみにしてたんだぞ。チョコが食えるからとかじゃなくて、手前が俺の為に作るっていうからよ・・・それを既製品で誤魔化そうとしやがってごらああ!!」
「いででででずびばせんでじだあああ!!」
痛い痛い痛い!!鼻もげる!もげるっていうか骨折とか通り越して潰されて鼻という存在が無くなりそおおおお!!
「まあ、悪意があってやったわけじゃねえからな。今回は許してやる。」
「あ、ありがとうございます・・・・」
ふー・・・あれ、離してくれたはいいけど、ずっとつかまれたせいか鼻の感覚が微妙に無いよ?ちょっ、これ本当にちゃんとついてる?鏡でちゃんと確認したいんだけど!
・・・・あれ?何で動けないのこれ。ねえこれ、さっきよりも抱く力強くなってない?
「それで?その失敗作は?」
「・・・捨てたよ!どれも味も何もかも最ッ悪の出来だったからね。」
「ほー・・・・・・手前、食い物を粗末にしたのか。」
「そ・・・!そりゃ材料いっぱい無駄にしたのは悪いと思ってるけど、」
「臨也。」
そう穏やかに俺の名前を言ったシズちゃんの顔は至極笑顔で。
他の人なら、その笑顔を見れば許してくれたと思うのかもしれない。けど、俺は知ってる。
この笑顔はろくでもない事を考えてる顔だということを。
「チョコレート、まだ残ってるぞ?さっきみたいに食わせてくれ。」
「は!?え、だってさっき許し、」
「タダで許すなんて誰も言ってねえけど?」
「!!」
ほうらね!!
ああもう、こんなことなら何も考えずにまっずいのぶつけてやればよかった!
「じゃあ、まず口移しでな。」
「なっ、く・・・!・・・・・ねえ、『まず』って何。」
「さあな。精々色んな想像しとけ。けど忘れんな。『約束を破った』のは手前だ。手前に拒否権は無え。」
「~~~~!!」
─────それから
「波江さん!料理教えて!っていうかお菓子の作り方教えて!」
「・・・・・何急に気持ち悪いんだけど。」
「いいから!ふふふ、今度こそあの野郎を跪かせる・・・・!!」
「そんな性悪な根性でやったら、何作っても不味くなると思うんだけど。」
新宿の情報屋の家が以前より少し騒がしくなったとかならなかったとか。
つー事で今回は料理下手な臨也さんでした!
甘い・・・・の?(聞いた)
おっかしいなー、合意の上でちゅっちゅさせるつもりが、付き合ってるとはいえ完全に一方的じゃないかこれ。
ま、アイテムであるチョコ出したからいいよね!
ハッピーバレンタイーン!!(投げた)
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