07/06
Tue
2010
昼間の自由行動はもちろんの事、夕飯や風呂も案の定騒ぎ倒し、こりゃ夜も中々寝れないんじゃないかと心配していたが、いざ就寝時間になると、3人は散々騒いで疲れたのか、布団に入るなりすぐに眠ってしまった。
騒ぎ疲れて即寝するって・・・子供かよ
まあ、とにかく夜は無事平和に過ごすことができた訳だが。
朝は朝でまた問題を起こすんだろうな、こいつ等。つうか、誰も朝まともに起きなさそうだよな・・・まずはそれからか。
そんな不安を残しつつ、俺も眠った。
そして2日目の朝──────
まず起きて早々驚かされた。
なぜなら、1番に起きたのは俺ではなかったからだ。
「あ、ドタチンおはよー。今日も晴れて良かったよね~・・・って何さ、その驚いた顔。」
「・・・・・今日台風なんてこないよな?槍なんて降らないよな?」
「うわあ、ドタチンちょっと新羅やシズちゃんに似てきたね?言い回しが少しムカつくんだけど?」
「あ、すまん。いや、てっきりお前は朝苦手だと思ってたから・・・」
「あー、俺結構朝強い・・っていうか慣れたんだよね。妹の世話とかあるからさ。」
「ああ、なるほどな・・・じゃあ、あとの2人起こしといてくれ。俺は今から班長会議だから。」
「はーい!いってらっしゃーい。」
まったく、ドタチンってば時々失礼なこと言うんだから。まあ、ドタチンだから許してあげるけど。
そりゃ、遅刻ばっかりしてる俺だからこの光景は予想してなかっただろうけどさ?
朝から学校行くのって、ちょいめんどくさく感じるんだよね~。
・・・・そういえば、高校入ってから、遅刻の回数が結構減ったかも。もしかして、俺結構高校生活楽しんで・・・・・・なんてね。
さて、ドタチンに頼まれた事だし、ぐうたらな2人を起こしますかね~
・・・って、これもしかしてチャンスじゃない!?日頃のシズちゃんへの恨みを晴らすチャーンス!!
よし、そうと決まればまず鳩尾に蹴りを一発ぶち込もう。そうしよう。
「シーズーちゃん♪あっさでっすよーっ・・・・」
渾身の蹴りをぶちかまそうとしたけど、なぜか出来なかった。たぶん、寝顔を初めて見たからだろう。
・・・・・・・止めた。どうせ蹴っても効かないだろうし。
は!そうだ!どうせなら寝顔の写メを撮ってあげよう!そして修学旅行の終わりにでも送ってあげよう。うわあ、シズちゃん超嫌がりそうww楽しみだなあ、楽しみだなあ!
そうなると、今度は慎重に行かないとね。あ、しまった。さっき調子こいてデカイ声出しちゃったからなー、起きてなきゃいいけど。まあ、大丈夫だよね、だってシズちゃんバカだし☆
よーし、今がシャッターチャン
ガシッ
す?
携帯画面から携帯を持つ自分の腕に目を移すと、自分よりもデカイ手に掴まれていた。
その腕を辿ればやっぱり、というか当たり前だけどそれはシズちゃんの手で。
そこから顔に移せば、シズちゃんは・・・・・起きて、いた。
あ、ヤバイ、俺死んだ。
だけど、シズちゃんはキレるどころか俺と目が合うと少し笑って
「・・・・おいで」
ぐいっ
凄い力で俺を布団の中に連れ込んだ。
え、あ、良かった俺死ななかった。じゃなくて、シズちゃん、あんな風に笑うんだー・・・あとあの「おいで」とかやば・・・じゃなくて!
どどどどどうしよう、し、シズちゃんと一緒の布団とか、ていうか抱き、しめりゃれてるとか、
「ちょっ、シズちゃん!?離してよ!」
「んー・・」
「なっ、はっ、離せって言ってるのに何で力入れるの!?」
や、やだやだやだ!もう、し、んぞうがバクバク言ってるのも、シズちゃんに近すぎるのも、シズちゃんのにおいとかあったかいとか全部、ぜんぶ恥ずかしすぎてやだ!もう恥ずかしすぎて今度こそ俺死んじゃうよ!!
と思った瞬間、布団が勢いよく捲られた。
頼んでおいといてなんだが、 正直、嫌な予感しかしていなかった。
しかし、もしかしたら、という希望をこめて頼んでみた。うまくいけば、この後が、とてもスムーズに進むだろうし。
で、結果、それは大失敗だった。
「お前等、というか臨也!朝っぱらから何してんだ!俺はそんな娘に育てた覚えは無いぞ!!」
「えええ!?お、俺どう見ても被害者!確かに起きてたのは俺だけど俺が被害者だよドタチン!!あと娘って何!?」
「うるせーなぁ、朝っぱらから・・臨也、手前朝っぱらから悪事働いてんじゃねーよ。」
「俺何にもしてない!むしろ働いたのは君だよ!早く離せよ!!」
「あ?・・・・・~~~!!ててて、手前!何、人の布団に入ってやがる!!」
「だから手前が連れ込んだったって何度も言ってるだろうがああ!!」
「静雄、臨也はまだ嫁入り前なんだぞ!」
「誰が嫁入り前だあああ!!いい加減ドタチン落ち着いてよ!」
俺も、静雄も、臨也でさえ知らなかった。
知っていいれば、いくらこの状況にテンパってたとはいえ、多少は大人しくできたのかもしれないのに。
本当に、誰も知らなかったんだ。
「おい、朝っぱらからうるせえぞ手前等。ちょっとそこ座れ。」
岸谷の寝起きの悪さを。
来神高校修学旅行2日目。朝食の場にて
「岸谷、俺飲み物持ってくるけど何がいいか?」
「お、新羅アレ好きだったよな?取ってきてやるよ」
「新羅!これすごいおいしいよ!食べる?じゃあ持ってくるね!」
あのクラス委員とあの戦争コンビが1人の男子生徒に対してまるで執事のようだった、
と、彼等を目撃した多くの者はそう言った。
「やだなあ皆。そんな気を使わなくてもいいのに~」
「「「いやいや、新羅さんには朝っぱらから多大なるご迷惑をおかけしましたので。」」」