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Sun
2010
今日は仕事をとっとと終わらせて、とっとと帰ろう。
俺にしては珍しく、そんな事を考えながら取引場所に向かっていた。
が、そんな時に限って、ややこしい奴等に会うっていうのはよくあることで。
「おう、臨也じゃねーか。元気か?」
「っわ!?」
突然誰かの腕が肩に圧し掛かってきた。
・・・俺にこんな事をしてくるのはサイケとデリックの他に1人、じゃない1体しかいない。
「・・・・・俺に何か用?ツッパリ。」
「いや別に。臨也を見つけたから話したかっただけだ。臨也を見かけたら話しかけるのは普通だろ?」
「・・・・・俺に対してそう思うの君ぐらいだよ。」
ツッパリはドタチンの所のアンドロイドだ。
ツッパリもドタチンと同じで、頼りがいがあって、あいつ等も彼には結構懐いている。
ただ、ドタチンを違うのは、
「臨也は今何やってんだ?」
「これから仕事に行くの。」
「今から?1人で?・・・よし、なら俺も一緒に行く。」
「・・・・・君、ドタチンの仕事の手伝いがあるでしょうが。」
「別に今日は俺いなくてもいい、簡単な仕事らしいし。だから平気だって。なあ、いいだろ?」
・・・・こうやって変に俺に構う所だ。ツッパリはやたら俺に干渉してくる。
しかもドタチンと違って自重を知らないんだもんなあ。・・・まあそれはウチのもだけど。
っていうか、あんまり機械に構ってもらっても、別に嬉しくないんだけど。それに、
「絶対ダメ。変に威厳のある君が一緒にいたら相手が萎縮するから来ないで。」
「んだよ、つれねえな。つうか臨也1人って危ないだろ?だから、」
「君は俺をいくつだと思ってるの。大体、そんなのドタチンが、」
「ツッパリ!」
「ほーら、君のお迎えが来たよ。」
「・・・・・・チッ」
「お前、大人しく待ってろって、・・・臨也。」
「やっほ、ドタチン。」
「・・・・臨也、何しようがお前の勝手だが、こいつは巻き込むな。」
「ハァ!?おい、京平、臨也は何も、」
「いいって、ツッパリ。ドタチン、君に言われなくてもそのつもりは毛頭無いから。」
・・・ま、そのリアクションは分かってたけどね。まあ、そんな人間が俺は好きなんだけど。
・・・って、そうだそうだ、俺もこんな所で油売ってる場合じゃなかったんだった。さっさと仕事終わらせないと!
「じゃあね、2人とも。俺忙しいからそろそろ行くね~。」
「あっ、おい臨也!!」
「・・・お前、」
「何だ。」
「・・・いーや、別に?そういうのって自分で自覚することが大事だもんな。」
「?何の話だ?」
「だから何でもねえって。ホラ、俺達も行こうぜ。」
だから、
素直に『コイツじゃなくて俺に頼れ』って言えばよかったのに、
とか水差すような事はあえて言わないでおいてやるよ。
++++++++++
ああもう、今日って何、厄日?
「いざやさん、いざやさん!」
「・・・・何かな、リンダ君。っていうか君1人で走ってきたけど、君のご主人様どうしちゃったの。」
「えーと、・・・あ、お店に置いてきちゃいました!」
「うわ、君何してんの。」
「いざやさん、これから1人ぼっちで仕事なんですか?じゃあ、リンダもついて行ってあげますよ!!」
「いやそれは本当大丈夫。あと君の言い方は若干ムカつくよね!」
「えー、そうですかね~?」
彼も、 アンドロイドで、名前はリンダ。
・・・・なぜだか、彼も俺に懐いている。だけどやっぱりそのご主人様の人間は
「何やってんだよリンダ!」
「あっ、正臣!」
「そいつには1人で近寄るなっていつも言ってるだろ!!」
「わー、相変わらず酷いなー。紀田正臣君は。」
俺のことが嫌い・・・それも大がつくほど、ね。
「臨也さん・・・・」
「嫌だなあ、俺はそんな睨まれる様な事をこの子にしてないけど?寧ろこの子のおかげで足止めくらって迷惑だったんだけど?ご主人様ならちゃんと見ててくれないと。」
「・・・っ、すいません、でした・・・」
「別に怒っちゃいないさ。ま、これからは気をつけてね。じゃあね、俺はここで。」
「またね、いざやさん!」
「・・・・・・じゃあね。」
ふー、紀田君がすぐ来てくれて助かった・・・。リンダはいい子はいい子なんだけど、ツッパリと違って人の話イマイチ聞いてないからなあ。今みたいに急いでるときに出くわすと困・・・って今何時!?ヤバイ、マジで遅刻するっ・・・!!
「リンダ!いっつも言ってるだろ?勝手に行動するなって!ましてやアイツに会いにいくとか・・・」
「ご、ごめん・・・正臣、ごめんね?ぬけがけして」
「今度やったら・・・ん?抜け駆けってなんだよ?」
「うん?正臣も一緒にいざやさんに会いたかったんだよね?だから怒っ、」
「てない!勘違いすんな!ほ、ほらもう帰るぞ!!」
「あっ、待って正臣ー!」
だって『1人で』近寄るなって、そういうことじゃないの?