05/27
Thu
2010
朝のSHRで先生から話を聞いて皆盛り上がってたみたいだけど、俺はそれを他人事のように聞いていた。
行くつもりないし。
興味無ぇし。
家にいたほうがずっと楽しいし。
と思ってた。昼休み前までは。
昼休み、屋上。
きっかけは門田の一言だった。
「そういえば、お前等はもう班決まったのか?」
「あ?班ってなんのだよ?」
「へ?ドタチン何の話?」
「え?何かあったっけ?」
そこからかよ。
3人とも言った台詞は違えど、言いたいことは同じなようで、質問を質問で返された門田はため息をついた。
「修学旅行のだよ、修学旅行!今週中に班作っとけって先生言ってただろ?」
「え?してた?そんなの。俺携帯いじってたからなー・・・新羅は知ってた?」
「あー・・出だしの今度修学旅行がありまーすぐらいしか聞いてなかった。その後はセルティの事しか考えてなかったし。静雄は?」
「あー・・だからお前気持ち悪い顔してたんだな。俺はー・・・興味無くて寝てた。」
「確かに朝の新羅の顔気持ち悪かったね~。なんとなく原因分かってけど、やっぱりセルティだったんだ。」
「ちょっと!失礼だよ君達!!」
「・・・・・・お前等が如何に不真面目なのか分かった。」
先生も注意してくれ。と、そんなこと思っても無駄だと分かっていながらも思ってしまう。
現に担任は、この3人の世話をクラス委員である門田に任せてしまっているし、3人のうち誰かに用がある場合も門田を通して呼び出している。
先生の威厳なんてほとんど無くなりかけていた。
「で、決めたのか?」
「俺は決まってないよ~。別に誘われてもないし。ていうかそもそも行くつもり無いしね~。だってつまんないもん。」
「僕も臨也と同じ。班は決まってないし、行く気もないし。セルティといたほうがずっと楽しいし!!」
「俺もだ。・・・どうせ行ってもロクな事になんねえだろうしな。」
「あ~それは言えてるよねえ!!」
「うるせえ!手前だけには言われたくねえんだよ臨也ァ!!」
「やーめーろってお前等。飯の時ぐらいは静かにしろって言ってるだろうが。」
「そーだそーだ!門田君の言うとおり!!」
「「新羅ウゼエ」」
「ちょっと!ホントにさっきから僕に対して酷いよ君たち!!」
忘れてる時点で思っていたが・・・やっぱり、決まってなかったか。なら話は早い。
「よし、じゃあこのメンバーで班決定な。お前等サボらずに絶対来いよ。ハイ、じゃあもうこの話は終わり。」
元々門田はそのつもりだったのか、今思いついた風ではなく、最初から決まっていたかのようにサラッとそう言い放った。
その台詞に驚いたのはやはり言われた3人で。
「・・・え?ドタチン何言い出しt」
「意見がある奴は挙手をしろ。」
「え、じゃ、ハーイ!俺聞きたいことがありまーす!」
「あ、ハーイ!私もあるー!」
「お、俺も!」
「・・・・・・・・」
本当にやるのかお前等。
とりあえず冗談で言った事を真顔でやり出すほど3人は驚いたらしい。
「じゃあ、1番最初に上げた臨也から。」
「えっと、ドタチン今俺たちの話聞いてた?俺等行かn」
「却下。もうこれ決定事項なんで。担任の話を聞いてなかったお前等に拒否権は無えから。」
「ちょっ・・・どうしよう新羅!ドタチンが横暴だよ!聞いといて、食い気味に否定したよ!」
「うーん、じゃあちょっと臨也泣いてみて!涙見せてみて!!」
「ダメだよ、ドタチン嘘泣き効かないもん!」
「やったことあんのかよ!じゃあ静雄!静雄頑張れ!」
「お、おう!ハイ!先生!!」
「静雄、俺先生じゃねえし。まあ、いいや。静雄は何だ?」
「たぶん・・・つうか絶対だと思うけど、俺等と一緒にいても楽しくもなんとも無えぞ?」
静雄が言った途端、臨也と新羅も騒ぐのを止めた。
それは2人もどこかで思っていた事だったから。
しかし、静かになったのはほんの一瞬だけだった。
「いや、そんな事ねえだろ。現にこのいつもの昼休みも楽しいんだからよ。俺はこの時間が楽しいと思えるから、旅行も楽しくなるんだろうなと勝手に思ってるだけだ。・・・まあ、ハッキリ言えば俺の我侭だな。悪いとは思うが、お前等には俺の我侭に付き合ってもらうぞ。」
と、門田が話し終えた丁度、チャイムが鳴り出した。
「じゃあ、俺先に戻って担任に言ってくるから・・・お前等ちゃんと授業前には戻って来いよ。」
そう言って門田は先に校舎に戻っていった。
残された3人はただただ屋上の出入り口を見つめている。
「な、に、今の。もしかして今のってさぁ・・・」
「門、田君に口説かれたのかな、僕たち。」
「おい、気持ち悪い言い方すんな。・・・・で、どうすんだ」
「どうするってさぁ、ドタチンを一人ぼっちにさせるわけにも行かないし・・・頼まれたし。」
「行くしか・・・ない、よ、ね?」
「・・・・だよな。」
・・・口ではそう言いながら、3人とも口元を見られないように抑えているのを・・・・・ツッコむ奴は生憎誰もいなかった。
いくら相手が
ドタチン
門田
門田君
でも
ちょっと嬉しかったなんて言える訳無いっつーの!!!