企画『吸血鬼と、君』に提出させていただいたものです。
静臨で、来神時代です。
副題つけるなら『俺の彼は吸血鬼』ですかね。(ダセエ!)
雲一つない晴れ渡る青空。
屋上には俺達だけ。
「臨也・・・」
「んっ、や、シズちゃっ・・・」
なのに、俺達は隠れるように陽がささない、タンクの裏にいた。
まるで太陽からも隠れるように。
その薄暗い所で、俺はシズちゃんの足の間に座り、お腹にはシズちゃんの両腕が回っていて、首筋にシズちゃんの息がかかるほど密着してて。
もうこれは、この状況は
「なあ、いいだろ?」
「やっ、だめっ・・・」
完全に
「いざやぁ・・・」
「・・・っ!だからっ・・・」
死亡フラグの何ものでもない。
「やめろって言ってんだろうがあああああ!!」
「俺、実は吸血鬼なんだ」
色々あってシズちゃんは俺の殺し相手から恋人になり。
付き合い始めたのはいいけど、付き合って早々、とんでもないカミングアウトをされた。
付き合ってからそんな爆弾投下するとか、下手すりゃ詐欺のようだとも思ったけど、別れる気は更々なかった。・・・・・・そんなのマイナスにならないほど好きだったし。
とはいえ、そう簡単に『そんなの気にしないよ!』って言うなんて俺の性格が許さず。
「ねぇ、そういうのってさぁ付き合う前に言わない?それかもう少し経ってからとかさぁ・・・それをつ、付き合い始めていきなり言うとか、なんなのシズちゃんやっぱりバカなの?」
と言ったら
「うるせえ!手前には何にも隠し事したくねえんだよ!」
となんとも男前な言葉を返された。まあ、その後の
「つうか手前の匂いにムラムラしたから覚醒しちまったんだ!責任取れ!!」
というジャイアニズム120%の台詞を言われ、その場で押し倒され、血を吸われ、しかもその勢いで最後まで致してしまったのも今となってはいい思い出です。
しかし、本当の問題はそれからだった。
「もう!日陰に連れ込むからもしやとは思ったけど!今日はホントにダメだからね!」
「何でだよ。もしやって思ってたって事は期待してたんだろ?」
「してねーよ!ちょっと思ってたけど、君の誠実さを信じてたの!」
「俺の誠実さは他で発揮してるから大丈夫だ」
「何が大丈夫!?つうかここでも発揮してよ!・・・ね、シズちゃん、君1番最近血を吸ったのはいつだったか覚えてる?」
「いつって、昨日だろ。」
「分かってるんじゃん!なら、連日は止めてって前から言ってるでしょおお!?」
そうなのだ。
ここ最近、シズちゃんは毎日、と言って良いほどに血を求めてくる。
付き合い始めはシズちゃんも遠慮してくれたりして、1週間に1度ぐらいだったんだけど、回数が多くなる度にそのスパンもどんどん短くなり、
今となっては3日も空けば上等と言えるぐらいにまでになってしまった。
俺の血は無限じゃないってホントに分かってるんだろうか、この男は。
「・・・仕方無ぇだろ。ここ最近ずーっと晴れが続いてるんだからよ。キツイんだよ結構。」
「まあね。最近雨どころか曇ってもないからねー・・・ならなんで屋上来たの。保健室で寝てろよ。」
「・・・保健室だと、臨也入れさせないからって新羅に言われた。だから屋上にした。」
「あー、この間保健室でシちゃったもんね・・・・・とはいえ陽が当たるのが辛いから、こんな湿った場所に連れてきたんだ。」
「おお。」
ああ、あの例えはあながち間違ってなかったみたいだね。・・・・・連れてきた理由がちょい嬉しかったのは悔しいから内緒にしておく。
でも、そろそろイライラが限界に達しそうだよ、俺。
「なあ、ちょっとだけでもダメか?」
「・・・・・もういい加減にして!」
「?」
「なんなの最近『血が欲しい、血が欲しい』って会えばそればっかり!そんなに血が欲しいならいつでもくれる他の人探したら!?・・・あ、」
しまった。
「・・・・・お前それ本気で言ってるのか。」
「っ!ちが、」
そんなわけない。
ただ、シズちゃんは『臨也(俺)』じゃなくて『血』が好きなんじゃないかって・・・・少しだけ思ってしまい・・・
気づいたらとんでも無い事を言っていた。
「あのね、ごめん、違うの!シズちゃ、」
「無理だ。」
「!」
謝る前に否定され、お腹に回っていた腕も緩められた。
・・・・・やっぱりもう俺は好きじゃないのかな。
そう思った瞬間身体が半回転して、シズちゃんと向かい合わせになった。
「他の奴なんかいらねえ。他の血なんていらねえ。…俺が欲しいのは臨也のだけだ。臨也の血だから、欲しくなるんだ。」
「!」
「俺は手前だけの血しかいらねえ」
そう言ってシズちゃんは俺を抱きしめた。
・・・・・・・・~~~~~ああ、もう!
「・・・でも臨也言う通り、最近の俺は手前の事を何にも考えて無かったな。臨也に甘えてばっかりだった。悪い。これから前みたいに、もう少し空けて、」
「っずるい!」
「あ?」
「そういうこと言うとかずるい!ずるいよシズちゃん!」
「あ゛ぁ!?何だよずるいって!」
なんなのもう!人が言って欲しかった事をいとも簡単に言っちゃうなんて!
そんなの言われたら、
「オイ、何なんだよずるいって!」
「いいよ気にしないで。・・・・・・それよりシズちゃん」
「・・・・・・何だよ」
「今より、量を少なくしてくれたら・・・・・・毎日あげても良いよ?」
「!」
甘やかしたくなるでしょ!
君の血が欲しい
それは魔法の言葉
ちなみにこの1週間後ぐらいにまた同じ喧嘩しますこの2人←
最初、臨也が吸血鬼でもいいかと思ったんですが、「あれ、これ静雄相手だと臨也の牙折れんじゃね?」と思って止めました。(理由くだらない!)
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