奇妙な同居生活が始まって1ヶ月。
あの日から、俺達の殺し合いはめっきり減った。
とはいえ、あいつは常時ムカつくし、大嫌い・・・なのは変わらない。
それはあいつも同じだろう。
ただ、あいつを殴るきっかけが極端に減ったというだけだ。
暇さえあれば、
「いざやくん!いざやくん!」
「臨也!臨也!」
・・・と、あいつ等がノミ蟲を必要以上に構いたがるからだ。
そのため、あのノミ蟲と同じ空間にいても、話すどころか、目を合わせることだって珍しいくらいで。
その影響もあって、俺の力を仕事以外で使うことがかなり減った。
嫌いなのに、一緒に住んで。
近くにいるのに殺し合わない。
そうやって急に環境がおかしく変わったせいなんだと思う。
俺がこんな───────
「・・・・、・・・・て、起きてよシズちゃん。」
「んー・・・?」
誰か呼んでる。・・・誰か、っつうかあのムカつく呼び方すんのはノミ蟲しかいねえけど。
・・・・あー・・でも何でだ。近くにノミ蟲がいんのに、全然殴る気が起きねえ。
それどころか、全然ムカつかねえ。
「ねえ、君今日も仕事なんでしょ?起きなよいい加減。っていうか!君のケータイのアラームが超うるさいんだけど!!」
「あー・・・起き、る・・・」
おい手前何言ってんだ。俺は起きてるだろ。
・・・つうかよ、『君』って何だよ。名前で呼べよ。
あいつらみたいに、俺の名前呼べよ。
「起きてないし!もう!俺はちゃんと起こしたからね!あとはどうなろうと知らないからね!ったく、・・・・あー、まだ寝足りないなぁ・・・二度寝しよう・・・でもその前に喉乾いたから何か飲んでこよ。サイケと津軽、もう起動してるかなー」
俺の肩を揺すってた手が離れていく。
うすぼんやりと見えたのはあいつの後姿。
あいつ等の名前が聞こえた。
また、あいつ等の所に行っちまうのか?俺を放って?
「っ!?・・・・・・ちょっと、シズちゃん手離して。何、俺の手握り潰す気?」
「・・・いやだ。いくな。」
「は?何言っ・・・ちょっと、手ぇ絡めないで!!」
あー、やっぱり俺変だ。臨也と手繋いでこんな・・・あ、そうか。
「し、シズちゃん!?ちょっとまじ何考えてんの!?いつもより変だよ!?」
「うるせえ・・・・おれはてめえとちがってへんじゃねえ・・・」
「いや、今の君十分変だし!」
「・・・・・・・・すー・・」
「聞いて!?くっ、こ、れホント外れない、し・・・・!あー、もういいや。もう俺も寝てやろ!こんな事で寝不足とかやってらんない!おやすみ!」
ああ、そうか。これ夢だ。
そうだな。夢じゃなきゃこんなのありえないよな。
臨也を引き止めるとか
臨也と手ぇ繋ぐとか
それで安心するとか、それで優越感に浸るとか、
全部、ありえねえもんな。
ドゴォ!
「いっっってええええ!」
頭にすげえ衝撃を受けて目が覚めた。俺にこんなことする、っつうかこの俺が痛がる攻撃をしてくるのは1人しかいねえ。
「津軽手前ええええ!!何しやがる!!」
「静雄が必要以上に臨也に近づいてたのが悪い。」
それがさも当たり前かのように、津軽は俺に冷たくそう言い放ち、ノミ蟲を抱っこして下りていった。
「あ゛ぁ!?俺がんな事するわけねえだろが!!・・っあー、いってえ!」
俺からノミ蟲に近づくとか何ありえねえ事言い出してんだあいつは!バカか!!
・・・・・あれ、何か夢見てた気がするけど・・・・何見てたんだ?
なんとなく・・・・悪い夢じゃなかった気がする。むしろ・・・
「って、今何・・・やべえ!遅れる!!」
今は夢どころじゃねえ!早く仕事行かねえと!!
そうして俺は夢の事はすっかり忘れ。
そしてしばらく、俺は津軽とサイケに理不尽な冷遇を受けた。
・・・・・・・・・あとなぜか、やたらノミ蟲に触れたくなった。
あっ、2人が一緒に寝てるのは他に寝室が無いからですよ!しかたなく、ですよ!!(ここで補足て)
サイケが影薄くてすいませんんん・・・!サイケが静雄の邪魔をするのは以前小ネタで書いたので、今回は津軽で!・・・という事で。
それにしても派生が絡む話は楽しすぎる^////^
神無月様、こんな感じでよろしかったでしょうか・・・?
書き直し、常に受け付けております!
リクエストありがとうございました!!
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