父さんからあの珍妙な物を送りつけられてから数日後。
ある意味当事者とも言える友人から、なんとも衝撃的な事を暴露された。
「へー、それはまた・・・え?じゃあ今君達って、もしかして」
「・・・・・・・・・・一緒に住んでる」
そんな事聞いたら、
もう見に行くしかないよね!!
「あ、しんらせんせーだ!おはよーございまーす!」
インターホンを押して、中から出てきたのは、ここの家主にそっくりな、だけど性格は全く違うアンドロイドだった。
「おはよう、サイケ。あと、誰だか確認もしないで勝手にドア開けるのは如何かと思うよ。」
「そっかあ・・・そうだね!じゃあ明日から気をつける!」
「いや、今から気をつけようね。・・・ところで上がっても大丈夫かい?」
「えー・・・いざやくんに何か用なの?どうしても今じゃないとダメ?」
「生憎今日は朝しか空いてなくてね。・・・臨也、どうかしたのかい?」
ああ、さすが臨也に仕えるだけあって、相手が僕とはいえそこはちゃんとしてるんだなあ。と思ったのだが、
「えー、だってねおきのいざやくんは可愛いから、だれにも見せたくないんだもん!むぅ、でもしんらせんせーだから、とくべつに入れてあげる!」
「・・・・・・わあー、ありがとー。」
それはとんだ勘違いだったと一瞬で思い直した。
その後、「あっちがう!いざやくんはいつも可愛いけど、ねおきはとくべつ可愛いってことだよ!」とよく分からない弁解をされたが、正直どうでも良かった。
「あ、新羅先生。おはようござ・・・?どうしたんですか、俯いて。しかもなんか震えてますけど。」
「ホントだ!どうしたのせんせー!おカゼ引いたの?」
「い、いや・・・・大丈夫・・・ホント・・・しばらくしたらなおるから・・・」
「「?そう?」」
なんだろう、静雄と津軽って臨也とサイケ組とはまた違う意味での全く違う性格っていうのは理解してるけど、あの顔で朝ごはん作りながら爽やかに挨拶するって、なんか・・・なんか笑っちゃう・・・・!!
でもダメだ、ここで大笑いして静雄に目撃されたら僕の命は・・・!
「・・ふー、よし何とか耐えた・・・!ってあれ?そういえば静雄と臨也は?」
「まだねてるよー。でも今から起こすところ!よし、津軽じゃんけん!」
「おう。せーの、」
「「じゃーんけーん、ポンッ!」」
「あ~!負けちゃった・・・」
「うっし!じゃあ手前は朝食の準備しておけよ。」
「ぶー、分かってますよーだ!あ、しんらせんせーも朝ごはんたべる?たべるならおれ作るよ?」
「本当かい?じゃあお言葉に甘えていただこうかな?・・・・ところで、さっき何でじゃんけんしてたの?」
「んー?今日はどっちがいざやくんを起こすかっていうじゃんけんだよ!」
ああ、それで津軽はうきうきしながら2階に上がっていったのね・・・・・・あれ?
「ねえ、そういえば静雄はどこで寝てるの?」
そう聞いた途端、さっきまでにこにこしてた彼が、一気にふくれっ面になった。
・・・あれ、聞いちゃマズイ事言った?もしかして。
「・・・・・・・いざやくんと同じベッドでねてる。」
「・・・・・・・・・・・うん?今、何、」
ドゴォ!!
「いっっってええええ!」
サイケが言った事がいまいち理解できなくて、もう一度聞きなおそうかと思ったとき、2階から、寝室から何かをぶつけた音と、野太い声が聞こえた。
・・・・・・もしかしなくともあの声は静雄に違いない。アイツも痛がるとかあるんだなあ・・・
「んあ?あれ、つがる・・・おは・・・!?何で俺抱っこされてんの!?っていうか、今の音何!?」
「俺がしたかったから。あと、音は別に臨也は気にしなくて大丈夫だ。一応加減はしてるつもりだから、壁も壊れることはない。」
「津軽手前ええええ!!何しやがる!!」
「静雄が必要以上に臨也に近づいてたのが悪い。あ、そうそう臨也、新羅先生が来てるぞ。」
「えっ、新っ・・・?ちょっ、津軽!マジ降ろして!!今降ろして!」
「?遠慮しなくても臨也は重くないから全然大丈夫だぞ?それにもうダイニングに着く。」
「そういう事じゃないんだってばあああ!!」
うわあ、静雄が痛そうにしてるのも貴重だけど、中身が別人なのはともかく、静雄が臨也をお姫様抱っこ、しかも超嬉しそうにするとかすごい貴重なものを見ちゃったなあ・・・・あとついでに赤面した臨也も久しぶりに見たなあ。
・・・・・・・あー、早く家に帰って僕もセルティを抱っこしたいなあ。
「やあ、臨也おはよう!先に朝食いただいてるよ。」
「・・・・おはよう、新羅。何しに来たの。」
「え?いやあ、最近全然臨也の顔見てないから見n」
「嘘つけ。この状況に面白がってきただけだろ。」
「まあね!だってこんな珍妙な光景、見たくもなるって話じゃない?」
「わー、死ねよマジで。サイケ、コーヒー頂戴。津軽は新聞。」
「はーい!かしこまりー!」
「今日はどれから見る?」
「んー・・・じゃあ今日は日経。」
「日経・・・は、コレだ。じゃあ他のはデスクに置いとくな。」
「ん。あ、サイケもコーヒーありがと。」
「ふふ、どういたしまして!」
・・・・・・うーん、やっぱり臨也は人を顎で使う姿に違和感がないなあ。さすが静雄とはまた違う俺様体質なだけある。
そんな事をしみじみ思ってたら、寝室から慌てた様子で、静雄が出てきた。
「っあー・・いってえ・・・あん?新羅、来てたのか。俺もう行くけど、まあゆっくりしてけよ。」
「え?静雄もう行くのかい?」
「シズちゃん、また朝ごはん食べないの?」
「そんな時間無えっつうの!つうかそう言うならもっと早く起こせって言ってんだろが!」
「はぁー!?毎回何度も起こしてるっつうの!何回も何ッ回も揺すって、大声で言っても起きないシズちゃんが悪いんでしょ!」
・・・・・・えっと、
「お前の起こし方が悪いんだよ。っと、マジで時間ねえ。じゃあ行ってくる。新羅、また今度な。」
「へっ!?あー、うん。また今度ね。」
「はいはい、いってら・・・・あ、シズちゃん!ついでにゴミ捨てといてー!」
そう言いながら臨也はゴミ袋を掴んで、玄関に走っていった。・・・・静雄のいる玄関に。
なんか、今のやり取りとかさぁ・・・
「なんかあの2人、まるで夫」
「「しんら先生。」」
「うん?」
「「それ以上余計な事言ったら、俺たちしんら先生に酷い事しちゃうかもー♪」」
そう言った2人(2体?)は口は笑ってるけど、目は笑ってなくて。
ただのキッチンが、なぜか2人の怖さを引き立たせていた。
「さー、ごっはん、ごっはん♪・・・あれ?新羅どうしたの?なんか心なしかさっきより痩せてない?」
「え、いやー・・・・うん、臨也頑張って。」
「はあ?何急に。」
「いやいや、さ、冷めないうちにご飯食べよ。」
「うん・・・・?」
これ、静雄が覚醒しちゃったら、さらにややこしくなっちゃうのかなあ・・・
一応、門田君に相談しておいた方がいいのかなあ・・・・・・
・・・・・・・・・・・・
めんどくさいから、いっか。
そう思い直し、僕は食事を再開した。
俺とセルティに害が無ければ、どうでもいいよね!
結果、見捨てられた臨也←
新聞のくだりは、臨也は情報屋だから新聞いっぱい見てるよね!という安直な考えから。
一応話は終わってますが、後編ありますよ!だって静雄何にもしてない!
というわけで静雄のターンは後編!
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