「愛してる」も
「大好き」も
「好き」でさえ
全部、俺の言葉。
好きな人が、恋人ができると優しくなるとか、思いやりを持てるとか聞いたことがあるけど、それは嘘だと思う今日この頃。
だってそれが本当なら、俺はこんな我侭にならなかった。
「・・・・今の俺、すっごい重いよなあ・・・」
キョロキョロと探しながら、俺は自分を嘲るように呟いた。
最近、池袋に頻繁に行くようになった。暇さえあれば、池袋に行った。
そして仕事があっても無くても必ず彼を探した。声はかけない。・・・かけられない。ただ、遠くから見るだけ。
「っていうか、重いっていうより、ストーカーだよね、これは。」
もうこれ、人の事言えないよね。波江さんの事言えないよね。・・・・いや、これもしかして、波江さんより性質悪いんじゃない?
付き合ってるのに、見るだけなんて。
俺自身、何したいのか分からない。見てどうすんの?安心するの?それともただの粗探し?・・・何それ最悪。
それどっちにしろ信じてないって事じゃん。自分の恋人を信用しないとかホント最悪。
キスもしょっちゅうする。
セックスだってする。
抱きしめてくれるし、笑ってくれるし、頭撫でたりとか優しく触れてくれる。
なのに、不安になるとか。・・・・まだ欲しい物があるとか。
「欲張りにも程があるだろ・・・・」
探せば探すほど自己嫌悪が強くなって、俺はとうとうその場に座り込んだ。
本当は分かってる。恋人なら言えばいいって。でもまた前みたいに「しつこい」って言われたら?
それどころか「手前なんか本当は───」なんて言われたら、俺はもう・・・・
・・・・もうやめよ。帰ろう。いいじゃないか、別に。だってあんなに態度で十分・・・
そう考えながら立ち上がったその目の前に目的の彼が、シズちゃんがいた。
俺には気づいていない。今まではそれでも良かった。だって今まで見てたシズちゃんはキレてるか、ただ黙々と歩いてるかのどちらかだったから。
なのに、どうして今日に限って違うの?
やだ。やだよ。
そんな優しくその女の頭を撫でないで。
そんな優しくその女に微笑まないで。
俺と同じような扱いしないで。
「──────、好きだ───」
どうして、
俺が1番欲しかった物を、言葉を、その女に言うの?
それとも、
やっぱりシズちゃんの好きな人は俺じゃなかったって事?
あ、ヤバイ、すごいらしくないけど、泣きそう。
涙が出てるかよくわからなかったけど、とりあえず誤魔化すように手で目を擦った。
その直後、シズちゃんと目が合った。・・・ような気がしたから、俺はその場から逃げるように家に帰った。
また臨也泣かせてすいませ・・・ん?いや、まだ泣きそう!泣きそうだからセーフですね!?(何がセーフ?)
後編は静雄視点です!
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