06/10
Fri
2011
「ねえ、私の事好き?」
「ああ、すきすき」
「愛してる?」
「あいしてるあいしてる」
安い女、と思った。
生贄がただの言葉だなんて。
それも、あんな男の言葉を欲しがるだなんて。
悪魔ならそんな適当な言葉より、もっとそれ相応の物をもらうべきだろう。
そう見下したように彼女を見ていた。
はずだった。
今日はさくまさんとではなく、アクタベ氏との仕事だった。
仕事は滞りなく終わり、いつものように生贄を要求した。
まあ、どうせさくまさんが作り置きしていたカレーだろう。と思っていたのだが、
何だこの有様は。
「あ、ああ、アクタベ氏い!?な、何ですかこれはあああんぐッ!?」
「うるせえって言ってんだろこのクソ蝿が。」
「んんんんん(すいません)!」
こんな顔を近づけられたら、誰だってうるさくもするわ!
と言いたかったが、アクタベ氏の手によって塞がれた為、それは叶わなかった。
・・・・あと怖くて謝罪しか言えなかった、というのもある。
っていうか本当近い!
何だ何が目的なんだよこの野郎!!
今私は結界を解かれた、いわゆる真の姿という状態で。
そして・・・・・・何故かアクタベ氏に押し倒されている。
いや、おかしいだろどう考えても。
私はただ生贄を催促しただけなのに!何で私がこんな事されなきゃいけないのか!!
今口を塞がれている分、目でそう訴えているのが伝わったのか知らないが、私を見たアクタベ氏は、いつものように何とも邪悪な笑みを浮かべて、話しだした。
「アンダインに何かしら言う度にお前は羨ましそうに見ていたからな。だからお前にも同じ事してやる。」
は?何訳のわからない事を言い出すんだ貴方は。
そう思った途端、耳元で
「好きだ。」
と、呟かれた。しかもそれだけではなかった。
「愛してる。」
「言葉じゃ言い表わせられないくらいに、」
「他の悪魔(奴等)や佐隈さんなんか比べ物にならないくらいお前を、」
「優一を、愛してる。」
「・・・・・・・・・・・・・」
こ、れは、
「どうだ、満足したか?」
「・・・・・・ふ、ざ」
ふざけんな、このベルゼブブ様がそんな言葉で満足すると思ってるのか!
あんな魚と一緒にすんなこのクソ野郎が!!
と、言いたい。言ってやりたい。
のに、
「何だ?もう手を離してやってんだ。言いたい事があるなら言えばいいだろう?」
「な、あ、ふっ・・・ふざけっ・・・~~~~~っ!!」
恥ずかしすぎて、何にも言えなくなるなんて。
というか何で言った本人じゃなくて言われた私が恥ずかしくならなくちゃいけないんだ!
何だその顔!何だそのドヤ顔!
っていうかいい加減離れろ!!
・・・と、いまだにまだ何も言えない私に調子に乗ったこの男は、さっきよりもさらに距離を詰めた。
今度は真横ではなく、真正面から。
うん?真正面から?
「そうか。これだけじゃ足りないのか。じゃあ特別にそれ以上の事してやるよ。」
「は?え!?ちょっ・・・・!?」
そ、それ以上って!?
こんっ、こんな息がかかる距離まで近づいて何をす
「・・・・・・・・臭ぇ」
る・・・・・・・・・・・は?
「あ、アクタベshゴフッ!?」
「1ヶ月。」
「んん?」
「1ヶ月糞食うの我慢しろ。そしたらしてやる。」
そう言って、彼は私の上から退き、私の腕を掴んで私を起こし、
「え?は?するって、何をををををを!?」
魔法陣に向かって、文字通り私を投げた。
ごしゃん!!
「ゆ、優一様!!どうなされました!?大丈夫でごさいますか!?」
「だ、だいじょうぶだ・・・」
勢い良く投げられたおかげで、顔面から着地するという、貴族の身としてはなんとも無様な格好をジイに見せてしまった。
「そうですか・・・?ああ、優一様、丁度御夕飯の用意が出来た所です。お召し上がりますか?」
「ああ、いただ、」
『1ヶ月糞食うの我慢しろ。そしたらしてやる。』
「・・・・・・・・・・・・・・」
「優一様?」
いやいや、アクタベ氏の言いなりになるなんてそれこそ馬鹿馬鹿しい話なわけで。
っていうか、そんな事して私に何の得もないわけで。
だから私はなんの躊躇い無く夕飯を食していいわけで。
だから、
・・・・・・・・・・
『あれ、ベルゼブブさんから連絡なんて珍しいですね~。どうしました?』
「・・・・・・・さくまさん、1ヶ月分のカレーって作れますか?」
『は?』
これはアクベルなのかアク→ベルなのかアク←ベルなのか結果わからなくなった、という・・・←
フワフワしてるしてるのは、初めて書いたからって事で許してくれるよね☆(UZEEEEE)