02/04
Fri
2011
「ただい
『おにはーそとーっ!ふくはーうちーっ!』
・・・・・あ゛?」
扉を開けた途端、子供達に何かを思い切りぶつけられた。・・・・全然痛くも痒くもなかったが。
ぶつけられ、バラ撒かれた物を1つ拾う。
これは、
「・・・・落花生?」
「「きゃー、にげろー!」」
「ひびやっ、はやくいくぞっ!」
「で、でもデリちゃん、まだぱぱさんにおかえりなさいのぎゅーしてないです・・・」
「ばかっ、あいつはおにだからそんなことしたらくわれちゃうぞ!」
「!!やっやらあああ!」
上の3人は楽しそうに、末っ子は本気泣きしながら俺から逃げていった。
おい、なんで一生懸命仕事やってきたのに、帰って早々豆ぶつけられなきゃなんねーんだ。
なんであいつらに逃げられなきゃなんねーんだ。
・・・・・・日々也の言うとおり、まだおかえりのぎゅーしてないんだぞ。
こんなこそさせんのは・・・
「いーーざーーやーーー!!」
「あ、おかえりシz・・・・きゃー!鬼が来たーー!誰か助けてー!」
「な、」
『こらー!おにー!!ママをはなせー!』
「!」
臨也を問い詰めようとしたら、またも鬼呼ばわりされ、また落花生をぶつけられた。
だから、さっきからよぉ・・・子供とはいえさすがにもう、
「!はーい!もう鬼退治ごっこ終了ー!次は豆まきタイムー!鬼が家に入ってこないように、玄関とか、ベランダとか、他の部屋にも豆まきしてきてー!」
『はーい!』
「サイケ、ベランダいこ!」
「うん!」
「じゃあおれたちはげんかんいこうぜひびや!」
「うん!あ、まって!ぱぱさんおかえりなさい!」
「・・・・・・おう、ただいま」
「じゃあ、デリちゃんとまめまきしてきます!」
「おう、行ってこい」
日々也と恒例のおかえりのぎゅーをしたら案外怒りはすぐに収まった。・・・結構単純だなって自分でも思う。
とはいえ、完全に怒りが消えたわけじゃない。
「臨也、手前ェ、」
「もー、シズちゃんってば!節分の時ぐらいさあ、悪者になってくれたっていいじゃない!ただの遊びなんだからさ!子供にマジギレとか止めてよね~。あすこで俺が機転をきかせなかったら、子供大泣きしてたよ!」
「なっ、せっ・・・?あ、おお、悪い。」
ああ、そうか今日節分だったのか・・・だから鬼・・・うん?
「なあ、でも投げつれられたの落花生だったぞ?」
「だって豆だと小さいから変な隙間に入ったりとかして掃除大変なんだもん。落花生なら何処に投げても皮むけば食べれるし。」
「ああ・・・・なるほどな。」
すげえ主婦の・・・あ、違うか、主夫の知恵だな。
・・・うん?節分?
「おい!手前もう恵方巻食ったのか!?」
「え、まだだけど。シズちゃん今日は早いって言ってたし、今日は皆で食べようと思ってたから。なあに~?シズちゃん、そんなに俺と夕飯一緒に食べたかったの?」
「当たり前だろ!臨也が恵方巻を口いっぱいにほうばる姿を見逃してたまるか!」
「・・・・・・・・・・・・」
・・・・あれ、何だこの空気。この、急に冷えた感じ。俺何か変なこと言ったか?
「?おい、いざ、」
「きゃーーーーー!超変態な鬼が現れたわーーー!誰か豆思いっきりぶつけてやっつけてえええ!!」
「な!?」
『こらーおにー!!ままいじめんなああああ!!』
「え、ちょっ、俺マジで何にもしてねえっつうーの!」
身体的には何もねえけど、ずっと鬼扱いされんのって精神的に結構、結構アレなんだからな!
その後、なぜか臨也には冷たくされたり、
鬼退治にハマった子供達に寝るまでずっと鬼扱いされたりと、散々な節分を過ごしました。
(静雄、心の育児日記より抜粋)
無題