03/18
Fri
2011
どうにかドタチンを言い包めて、やってきたのは常に消毒液の臭いがする教室。
今日は晴れてるから屋上でもいいかと思ったけど、やっぱりまだ寒いし、こっちにはベッドあるし、なによりこの時間帯はこの部屋にも日が差してすごく気持ちがいい。
そんな理由でこの教室───保健室に来た。
・・・・のだが
「・・・・・最悪。」
1番良い場所、つまり1番陽の当たる窓際のベットはすでに誰かが占領していた。・・・誰か、なんて大体見当はつく。
名簿を見るとやはりその名前が1番下に書いてあった。
・・・どうせサボりのくせに、律儀に名前書くとかバカじゃないの。
そう思いながら、その下に自分の名前を書く。こういう時、俺はあの化物と違って、「体調不良」が通じる体格で良かったと思う。
ご丁寧にカーテンを引いてあって、残念ながら太陽暖かさは感じることができないが、最近寝不足気味の俺からしたら、目の前のベッドはそれでも十分に魅力的に見える。
「おい。」
上履きを脱ぎ、ベッドに入ろうとしたその時、隣からのベッドから声をかけられた。
「何ですか、不良さん。」
「・・・・俺は不良じゃねえ。」
「授業サボってる時点で、立派な不良だと思いますけど。」
「じゃあ、手前も立派な不良だな。」
「ブブー、俺は立派な『体調不良』ですー。」
「は、どうせ仮病だろ。」
「まさか!品行方正なこの俺が仮病なんて使うわけないじゃないか!」
「品・・・?手前、何新羅みてえに訳わかんねえこと言ってんだ?」
「・・・・・うん、今のは俺が悪かったよ、ごめん。」
「うわ、今のすげえムカつく。」
カーテン越しだからなのか、お互い眠いからなのか、2人ともいつも通りに話してても喧嘩に繋がらない。
俺は相変わらず、ベッドに入ろうとして、入らない、という中途半端な格好のままだ。
「・・・なあ。」
「何。」
「そっち寒くねえの?」
「誰かさんが太陽独り占めしてるからねー。」
「・・・・こっち来れば。あったけーし。」
「・・・・何、親切ぶっちゃって。どーせ枕が欲しかっただけなんだろ。」
そう言いながら、カーテンの向こう側から伸びてきた手を掴む。一瞬、脱ぎっぱなしの上履きの事を考えたが、そのまま引っ張られたので、すぐにどうでもよくなった。
「まあな。つうか、それでも来るんだな、お前。」
「暖かい所で寝たいだけだよ。」
抱き枕にされるのは何だか癪だったけど。
暖かいし、眠いし、・・・・・・・・・・寝息と、心臓の音が心地良いから、そのまま気にせず眠りにつくことにした。